薬草:ヒヨス・・・・・・・・・・生薬:テンセンシ(天仙子)

人類は古くから、自然界の中で「病」を癒す薬を探し求めて来ました。その大いなる遺産の範疇に挙げられるのが、生薬と呼ばれているものです。近代科学技術を身に着けてきた今でも、そこには多くの自然の【叡智】が存在しています。

花弁の網目模様がどこか「編み笠百合」を思わせるが、この「ヒヨス」はナス科に属する植物で主に薬用植物として栽培されています。ナス科植物には、茄子・唐辛子・ジャガイモ・トマトなど食用植物も多いのですが、「ヒヨス」はおなじナス科植物のチョウセンアサガオ・ハシリドコロ・ベラドンナと並ぶ有毒植物とされています。

 

有毒とは人体への生理活性のある事であり、ヒヨスの種子を集めたものが生薬:天仙子として知られていますが、現在では、医薬品の重要な原材料として医療に貢献しています。

 

トロパンアルカロイド類のヒヨスチアミン・スコポラミン・アトロピン・アポアトロピン・スキミアニンなどが全草にあり、抽出精製した硫酸アトロピンや臭化水素酸スコポラミンの形で、広く鎮痛薬や鎮静薬 鎮痛、鎮痙薬などに使われています。同時に、抽出物の形の薬物混在の形でのロートエキスでも、持ち味を生かして使われます。

 

乗り物酔いの薬にも配合されていることがあり、身近な薬ともいえます。スコポラミン成分の貼り薬は、宇宙飛行士の乗り物酔い防止の薬としてNASAでも検討されたり、地下鉄サリン事件で名を馳せたアトロピンは、有機リン剤中毒の解毒剤として軍用には欠かせないものです。

 

これらの背景には、ギリシャ時代にも知られていたその薬理作用や魔女伝説で多くの場面に登場する極秘の草の言い伝えがあり、サスペンスの中での殺人にも登場して参ります。

 

全草が毒性を持つので、間違っても不用意に触れないことでしょう。

 

参照文献:木下武司氏HP・日本薬学会HP・都立薬用植物園HP・医薬品情報21・ウチダ和漢薬HP

                                     (文責:三鍋康彦